テニス部の先輩。
第1話


「ねぇ美優ちゃんが、やったんでしょ?」

突然投げかけられた一言。

なぜこうなったのか
それはほんの数分前のことである。



「あれ、このボール空気抜けてんじゃん」

各地域ごと対抗のキックベース大会の練習で使用するボールが空気が抜けていたのを私が見つけた

「あー本当だ。いつ抜けたんだろ」


そんな疑問が飛び交うなかで
なにか尖った物で刺されたあとがあった

その瞬間ある女の子が言った。


「それって美優ちゃんやったんじゃない?」


その場が凍りついた。


ーやってない。違うのに…ー


でも不安からか上手く喋れない。


「確かに。第一発見者が怪しいよね!!笑」
「それ私も思ったー!」

次々と私を犯人に仕立て上げるかのように
話が進んでしまった


そんな時



「美優ちゃんそんな事してないよ。
それにそんな事するような人じゃないから」



1つ歳上の千影翔(ちかげ しょう)が
キッパリと言い放った。


その瞬間、私の心の中で何かが動いた。
ほっこり暖かくて少し苦しいようなこの感情


そう。
私の初恋が始まった






それから数年後

私は中学2年生になり、彼は中学3年生になったのである。
翔が小学校を卒業して以来、未だに全く話す事ができていないのだ。



しかし、私が入った部活が偶然、翔と同じ
テニス部だった。
それが唯一の接点。



「やばい。翔くんカッコよすぎじゃん」

つい独り言のように囁いてしまう。



この時は思いもしなかった













この純粋な恋心があんな風に変化するなんて…
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