キミの嘘
放課後、部活を引退した縁と帰ることも増えて
今日も、校門前で待っていた。

「杏さん」
「蘇芳くん」

蘇芳くんが後ろに立っていた。

あいかわらず、、さわやかイケメンな蘇芳くん。
「今回は、大変でしたね。体調は、大丈夫ですか?」
「ありがとう!もう大丈夫。」

縁から聞いたの?

と聞くと、にっこり笑った。

ほんと、蘇芳くんの笑顔は破壊力ありすぎ。

縁とはまた違うタイプ。
縁が動、なら
蘇芳くんは、静。

二人の関係性も、よくわからない。


なんとなく、縁は蘇芳くんに一目置いているような気がするし、いつも、蘇芳くんの一歩後ろにいて、動いている。

私と知り合う前からの知り合いみたいだし。

「杏さんが橘くんにさらわれたと知ったとき、縁は本当に止められないくらいでした。」
「縁が?」



「たぶん、杏さんのことになったらきっと、彼は自分を犠牲にしてもあなたを守ると思いますよ。今回みたいに。」
「、、、」

「、、僕はこれから縁を、ある大きな渦に巻き込んでしまう。」

「えっ?どういう?」

「杏さん、縁のそばにいてあげてくださいね、縁を支えてあげてください」


「うん」

それじゃ、と片手を上げて蘇芳くんは歩いて行った。

蘇芳くんの言った意味がわかるのは、そう遠くない日だった。


「杏!!」
蘇芳くんの姿が見えなくなったころ、ちょうど縁がやってきた。

「待たせたな」
「ううん。さっき、蘇芳くんにあったよ」

「そっか」

縁がわたしの手を握り

帰ろう?

と歩き出した。

ふと、縁が足を止めて

「杏、好きだよ」
「うん、わたしも縁のこと、好き」

言った後にお互い照れて、恥ずかしくなった。


もう、嘘はつかなくてもいい。

これからはずっと、そばにいる。





end

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