千紘さんのありがた~いお話
 



 千紘は、真昼が押しているドアに寄りかかって、考えていた。

「来ないでくださいーっ」
と叫ぶ真昼は相当動揺しているらしく、このドアが外開きなことに気づいていない。

 そっちから押してどうする……。

 ちょっと可哀想なので、開かないよう、身体で重石(おもし)をかけてやっていた。

 考えてみたら、今日はまだ土曜日だ。

 土曜に無理強いはよくないか、と思う。

 日曜も一日、顔を突き合わせとかないといけないわけだしな。

 まるで学生が、明日も学校で顔を合わせるのに、今、告白したくない、と思う感じで千紘も思う。

 っていうか、妻に告白とかどうなんだ?

 だが、写真を見て、なんとなくいいと思い、出会って、やっぱり、こいつだと思ったときよりも。

 一緒に暮らした今の方が、もっと真昼を愛している。
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