千紘さんのありがた~いお話
 そうですか。

 わかっていただけましたか、と思ったのだが、何故か、手は握られたままだった。

 真昼の手をつかんだまま、ずい、と千紘がフォークダンスのように、一歩、前に出てきた。

「抵抗しても、今日はスーツケースはないぞ」
と言われる。

 何故にスーツーケース? と思ったのだが、

「今日襲っても、俺をスーツケースにつめて、ダムに捨てられないだろと言ってるんだ」
と言いながら、真昼をベッドにもう一度、腰かけさせる。

 なんの話だ、と思いながら、真昼は言った。

「なに言ってるんですか。
 直接、池に投げ込みますよ」

 チラと大きな掃き出し窓の外を見た千紘は、
「生態系を狂わすな」
と言ってくる。

 貴方、中で生息する気ですか、と思う真昼に千紘は、そっとキスしてきた。
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