嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも




 「愛音先輩。今日は突然休んでしまいすみません。引き継ぎの連絡も出来なくて。」
 『いいのいいの。それより大丈夫なの?倒れたって聞いたから心配してたのよ』 


 愛音は、心配そうに緋色に声を掛けてくれる。上司も愛音も緋色にとって大切な人だと改めて感じた。


 「はい。もう元気なので。ご心配お掛けしました」
 『緋色ちゃんは通院以外で全然有給使ってないんだから、明日も休めばいいのよ』
 「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。明日は出社します。また、明日からよろしくお願いいたします」


 その後、愛音に引き継ぎをした後に緋色は電話を切った。


 フーッと息を吐いてから、ソファに座った。
 まだ、体が重く感じてしまう。ただ電話しただけなのに疲れたと感じてしまうぐらいだ。今日は仕事を休んでよかったと思った。


 昨日の事は、緋色自身もよく覚えていた。
 レストランに入店し、テーブルの上にあったキャンドルを見た瞬間から目の前が真っ暗になったのだ。
 そして、意識は全く違うところへと飛んでしまった。



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