一生に一度の「好き」を、全部きみに。

もっと女の子っぽい私服を想像してたけど、これはこれでいい意味で期待を裏切られた。

「葵、かわいいー!」

「花菜だって何気に気合い入ってるじゃーん!」

「そんなことないよー、今日はテーマパークだからねー。葵といけるなんて超うれしい!」

そう言いながら私の腕をギュッと握ってくる花菜に自然と笑みがこぼれる。

友達と遠くに遊びにいくなんて、初めてだから私もとても楽しみにしていた。

「おーい、花菜ちゃーん」

「げっ」

大きな声で遠くからこっちに向かって手を振る人物に、花菜は眉をひそめた。

相当嫌われてるなぁ、黒田くん。

私たちの前まで弾む足取りでやってきた黒田くんは、大きめのジーンズにポロシャツで、その上に青いギンガムチェック柄のシャツ姿。

とても黒田くんっぽい格好だ。

「おはよう、黒田くん」

「おはよ、神楽さん。花菜ちゃんも」

「おはよ」

ニコニコ顔の黒田くんにそっけなく返す花菜。

そうこうしているうちに咲もやってきた。

咲はタイトな黒のパンツに白のシャツ、そしてグレーのジャケットといったきれいめな格好。

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