溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

結婚を決めてから経験する、初めての恋愛なのだから大目に見てもらえるとありがたい。


「結婚に全然乗り気じゃない感じだったのに」
「そうだったかな」


首を左右に傾け、笑って誤魔化した。
婚姻届を出したのは、お互いに想いを打ち明け合った翌日。晴れて新婚の仲間入りだ。


「美華のそんな顔を見てると、私まで結婚したくなってくるわ」
「うんうん。鈴もどう?」
「簡単に言わないのー。で、結婚式は?」
「秋あたりを予定してるんだ」


ドバイの件がいったんひと段落するのを待ち、それから式をあげようと話している。


「そっかぁ。鈴のウエディングドレス姿、楽しみだね」
「友人代表は鈴にお願いするからね」
「うわっ、それは責任重大だ。今から考えておかないと」


鈴とふたりでわいわい楽しく話していると、不意に店員から声をかけられた。


「あの、失礼ですが、この前のお客様でいらっしゃいますよね?」

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