溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

もしかしたら、結婚を決めなければならないとナーバスになっていたのも関係しているかもしれない。
なんにせよ、美華は自分にとって最適の相手だと考えていた。


「博人が私に反抗するのは初めてだな」


潤一郎はどこか楽しそうに口もとを緩める。まるで、それを待っていたかのような口調は博人にとって意外だった。


「今週末にでもお時間をとって彼女と会っていただけないでしょうか」


クスンと鼻を鳴らし、潤一郎が組んでいた手を解く。


「いいだろう」
「ありがとうございます。では後ほどあらためて」


これから『ABP~All Business Parsons』というエコノミー系雑誌の取材が行われる予定である。

会社へ招こうと考えていたが、博人が設計したタワービルディングを歩きながら写真撮影もしたいとのことで、商業エリアにあるカフェで待ち合わせをしている。

博人は一礼して会長室を後にした。


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