隠れイケメンの王子様に恋しました
「おい、何で酒なんて飲んでる?お前まだ未成年だろ?」

行き先を運転手に告げた後、深く座り直したイケメンの彼をなの葉は不思議そうに見つめた。

「なんで、わたしのこと、しってるんですかぁ?」

「っ、それは…」

なの葉は今日一日の事を思い出して急に悲しくなって俯いた。

「私、もう未成年じゃないですよ…今日、誕生日で二十歳になったんです」

「誕生日…?」

「なのに…好きな人には会えないし、祝ってくれるって言う親友には騙されて合コンに付き合わされるし、知らない人ばかりで緊張したし、初めてのお酒は美味しかったし、ケーキも出してくれたし…みんなお祝い言ってくれたし…散々な日でしたよ…」

後半は散々でもなかっただろうに支離滅裂なことを言うなの葉は項垂れながら揺れている。

「ごうこ……それで、酒飲んで酔っ払って男にお持ち帰りされそうになってたのか…」

腕を組み眉根を寄せるイケメンの彼は肩に重みがかかり横を向くとなの葉は目を閉じ夢現。
腕を解き蕩けそうな甘い顔でそっと頭を撫でてやる。

「お前の好きな人って誰…?」

「んん~むにゃむにゃ…」

応えないなの葉にため息をついたイケメンの彼はいったい誰なのか…?


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