隠れイケメンの王子様に恋しました
本社行くの初めて!わくわくするね!なんて喜んでる朋絵を余所になの葉は浮かない顔をする。

本社はここから1時間もしないので家からでも通える。
たった5日とは言え前後の土日を入れると9日間も大宮さんと会えないと思うとなんだか寂しい。

「あ、のっぽメガネ…」

朋絵の声でえっと顔を上げると大宮さんと廊下でばったり出くわした。

「あ、大宮さん!おはようございます!」

朝から会えてテンションの上がったなの葉に大宮はフッと顔を逸らした。

「おはよう…」

素っ気なく言うと通り過ぎていく。

「え…」

最近挨拶すると微かに笑って挨拶してくれたのに目も合わせてくれなくてなの葉はショックを受けた。
呆然とするなの葉の顔の前て手を振る朋絵。

「ちょっと、大丈夫?のっぽメガネが無愛想なのいつもの事じゃない。あんなののどこが良いんだか…。あっ、この間の合コンでいい感じの男の子居たじゃない!目の前に座ってた。彼の方が断然いいと思うんだけど?どうなの?なの葉…?」

ギギギと音がしそうに首を朋絵に向けたなの葉の目は涙ぐんでいて朋絵はギョッとした。

「私…なんかしたかな?最近ちょっとは笑ってくれたのに…」

「…だめだこりゃ、マジだね…」

朋絵は珍しいものでも見るようにまじまじとなの葉の顔を覗き込んだ。
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