隠れイケメンの王子様に恋しました
口元を覆いまた真っ赤になるなの葉の様子を見ていた御影さんは自らドアを開け外に出るとなの葉に向かって手を差し伸べた。

「ほら、おいで」

一瞬戸惑ったけどゆっくりと差し伸べられた手に自分の手を乗せると優しく引っ張り上げられ車から出た。

「あのっ、送っていただいてありがとうございます!あの日も…送っていただいて…おかげで知らない人に連れてかれずに済みましたし…その…」

勢いよくお礼を言ったものの段々と勢いは薄れていき俯いたなの葉は、顔を上げると満面の笑みで御影さんに告げた。

「誕生日、祝ってくれて嬉しかったです!」

「っ…ああ。早く家に入れ」

一瞬目を見開いた御影さんは微笑むと家に入るように促し、なの葉は素直に頷きアパートの階段を上がった。
二階に上がってもまだ車の外で見ていた御影さんにぺこりと頭を下げると手を挙げた御影さんは車に乗り込み去っていった。

「はあ、お礼が言えてよかった…。でも、結局キスの事は聞けなかったな…」

今頃ドキドキしてきて御影さんの顔を思い起こしながら家へと入った。

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