隠れイケメンの王子様に恋しました
そう、大宮さんもそのことを気にして今まであまり工場内で関わろうとしてこなかったと言っていた。
「こんな身なりだし、正体を明かそうとは思わない。なの葉が何か言われるのは嫌だから…」
しゅんとするような大宮さんになの葉は首を振った。
「私、何言われたって平気です!それより、大宮さんに素っ気なくされる方が寂しかったというか…」
そっと、腕を触ろうとしてその手が止まった。
その手に気付いた大宮さんがなの葉の顔を見る。
「…私は堂々と大宮さんが好きって言います。大宮さんは嫌ですか?」
なの葉だけでなく大宮さんも何かと言われるだろう。
それを心配して引っ込めた手を自分の手で握り大宮さんを見上げる。
「そんなことない、嬉しいよ。何かあったら俺にすぐ言えよ?」
「はい!大丈夫です」
なの葉のアパート、玄関前でにこにこと微笑み合い、ほら、家に入れと押し込まれて鍵締めろとドア越しに声がする。
カシャンと音が聞こえると、いつかのように「ちゃんと風呂入って布団で寝ろよ!水も飲めよ!じゃあな!」と声がする。
カンカンカンと階段を降りる音をドアに耳をくっ付けて聞いていた。
冷たいドアが火照る頬に気持ちいい。
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