隠れイケメンの王子様に恋しました
そしてテーブルを挟んで前に座ると、「ありがとう」と一口コーヒーを口にした大宮さんが徐にカップを置きじっと見つめてくる。
何を言われるのかと戦々恐々としてピシッと姿勢を正していると、大宮さんはクッションから少しずれてポンポンと空いた所を手で叩いた。

「ちょっとこっち来て」

「は…はい」

すごすごと言われた通りに隣に座るとなんだか恥ずかしくて大宮さんとは逆の方向を向く。
少しだけ触れる体温にドキドキ。

「なの葉、こっち向いて」

優しくそう言われ、ゆっくりと向くと間近に大宮さんの瞳とかち合う。
思わず手を伸ばそうとしてまた止め俯く。

「なの葉…なんでそんな寂しそうな顔をする?」

「え…?」

もう一度顔を上げると切なげな顔をする大宮さんにきゅんと胸が鳴る。

「いつも、手を伸ばしては寂しそうな顔をして引っ込めるだろ?それが気になってた。初めは、俺と付き合うこと後悔してるのかと思ったけど…」

「そ、そんなことありません!そんなことある訳ないじゃないですか!」

慌てて首を振るなの葉の肩を優しく抑える大宮さんはなの葉の顔を覗き込む。

「それは、今日のあの食堂の件で勘違いだってわかった」

ホッとして肩の力を抜いたなの葉を優しげな眼で見る大宮さんにドキドキが止まらない。
何故だか目に涙が溜まる。


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