隠れイケメンの王子様に恋しました
つい手が伸びて途中で止まった。

その手を雪都の手がサッと取った。
顔を上げると蕩けるような甘い顔が目の前にいた。
鼻が付きそうな距離にドキリと胸が跳ねる。

「今日も、一緒に帰るだろ?」

握った手に力が込められて揺れる瞳でこくんと頷いた。

「じゃ、後でな」

またきゅっと握って手は離され、去っていく後ろ姿をなの葉はぼーっと見とれて立ち尽くしていた。
上手く誤魔化されたのは気付かない。
ほうっとため息をついて振り返ると目の前に昨日のお姉さま方がいた。

「わっ!お、おはようございます」

「おはよう…昨日は、馬鹿にして悪かったわね…。その、意外にかっこいいわよね大宮君」

きまり悪そうにぼそぼそと言ってるけど、昨日の事は反省してくれてるようだ。
昨日の雪都の事を言ってるのかさっきの事を言ってるのか?分からないけど見直してくれたみたいでなの葉は嬉しくなる。

「はい!かっこいいんです!」

満面の笑みでそう言うといそいそと自分のデスクに戻った。

朋絵には「ごちそうさま~」とからかわれたけどもうさっきの恥ずかしさは消えて嬉しさのほうが勝ってる。

ふふふっ~~と笑って仕事にかかった。

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