起たたない御曹司君の恋人は魔女


「まったく、結ちゃんったら。女の子を外で待たせるなんて、ダメじゃない」



 紗良がちょぴり怒って戻ってきた。


「どうかしたのか? 」

 結人が尋ねると、紗良はちょっとだけ頬を膨らませた。


「もう、結ちゃんったら彼女の事待たせすぎているから。座り込んでいたの。ちょっと熱っぽかったから、結ちゃんの部屋で寝かせて来たわ」



 結沙が戻ってくると、良人が傍にやって来た。


「結沙、お前彼女出来たのか? 」

「あ、ああ」


 良人はササッと、結沙を洗面所へ連れて行った。


「おい、お前まさかもうヤッたのか? 」

「え? 」


 いつもネクタイをしている結沙がネクタイをしていない。

 そしてシャツのボタンが少し外れているのを見て、良人が言った。


「その格好からすると、ヤッたみたいだな? 」

「あ、ああ。シタけど」


「で、どうなんだ? 」

「え? 何が? 」


「だから、起ったのか? 」

「あ、ああ。ちゃんと反応したよ」


「マジか? 」

「うん」


「最後までヤッたのか? 」


 真剣な顔で詰め寄ってくる良人に、結沙はちょっとだけため息をついた。
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