Before dawn〜夜明け前〜
3.六月〜夜明け前〜
シンデレラの時間
毎週金曜日は買い物でいぶきの帰宅は遅くなる。
もっとも、夕食の時間に食事が間に合えば、風祭家の人間はいぶきの事など気にも留めないが。
この日、いぶきの姿は、スーパーではなく高級ブティックの店の前にあった。
拓人に渡された地図の通りに来たのだが、あまりの高級感にドアを開けるのもためらわれた。
「そうねぇ、ブラックはやめてグレーにしようかな。拓人、目立っていいんでしょ?」
女性言葉を話し、スラリとした体型で背が高く彫りの深い顔立ち。派手な原色を着こなす彼の名は鈴木淳三。日本を代表するデザイナー、JUNNZO SUZUKI 。
彼はささっとスケッチを描いて拓人に見せた。
「あぁ、いいよ。ジュンに任せる」
「今回の女の子は?この間のモデル?」
「あれは、もういい。うっとおしいヤツだった」
ジュンは、呆れて肩をすくめる。
「女の子はアクセサリーじゃないのよ。
全く、拓人は、どんな女の子にだったら恋するのかしら」
「恋?そんなもの、全く必要ない感情だな。
俺に必要なのは、一緒に戦う同志だ。時には、共謀者になるような。
ほら、来たみたいだ。みにくいアヒルの子が。
ジュンの力で、最高の女にしてやってくれ」
拓人が店のドアを指差す。
制服姿のいぶきが困ったように、立ちすくんでいた。
「あの子なの?ホントにアヒルちゃんね。
拓人の依頼となれば頑張るわよ!腕がなるわ〜」
ジュンが嬉しそうにいぶきを、引きずるように店内に連れてくる。
「拓人?
一体、どういうこと?」
いぶきは拓人の姿を見つけると、戸惑った様子を見せる。
そんないぶきにお構いなく、ジュンはいぶきのメガネを外してしげしげとその姿を眺めた。
「これは…ダイヤの原石ってとこねぇ、拓人。
この子の、目。強い目ね。好きよ。
貴女、名前は?」
「青山いぶき、です」
「いぶきちゃんね!アタシは、ジュンよ。
今からいぶきちゃんに、魔法をかけてあげる。
さ、こっちよ!」
さすがにポカンとしているいぶきがジュンに店の奥へと連れていかれて、30分後。
もっとも、夕食の時間に食事が間に合えば、風祭家の人間はいぶきの事など気にも留めないが。
この日、いぶきの姿は、スーパーではなく高級ブティックの店の前にあった。
拓人に渡された地図の通りに来たのだが、あまりの高級感にドアを開けるのもためらわれた。
「そうねぇ、ブラックはやめてグレーにしようかな。拓人、目立っていいんでしょ?」
女性言葉を話し、スラリとした体型で背が高く彫りの深い顔立ち。派手な原色を着こなす彼の名は鈴木淳三。日本を代表するデザイナー、JUNNZO SUZUKI 。
彼はささっとスケッチを描いて拓人に見せた。
「あぁ、いいよ。ジュンに任せる」
「今回の女の子は?この間のモデル?」
「あれは、もういい。うっとおしいヤツだった」
ジュンは、呆れて肩をすくめる。
「女の子はアクセサリーじゃないのよ。
全く、拓人は、どんな女の子にだったら恋するのかしら」
「恋?そんなもの、全く必要ない感情だな。
俺に必要なのは、一緒に戦う同志だ。時には、共謀者になるような。
ほら、来たみたいだ。みにくいアヒルの子が。
ジュンの力で、最高の女にしてやってくれ」
拓人が店のドアを指差す。
制服姿のいぶきが困ったように、立ちすくんでいた。
「あの子なの?ホントにアヒルちゃんね。
拓人の依頼となれば頑張るわよ!腕がなるわ〜」
ジュンが嬉しそうにいぶきを、引きずるように店内に連れてくる。
「拓人?
一体、どういうこと?」
いぶきは拓人の姿を見つけると、戸惑った様子を見せる。
そんないぶきにお構いなく、ジュンはいぶきのメガネを外してしげしげとその姿を眺めた。
「これは…ダイヤの原石ってとこねぇ、拓人。
この子の、目。強い目ね。好きよ。
貴女、名前は?」
「青山いぶき、です」
「いぶきちゃんね!アタシは、ジュンよ。
今からいぶきちゃんに、魔法をかけてあげる。
さ、こっちよ!」
さすがにポカンとしているいぶきがジュンに店の奥へと連れていかれて、30分後。