死りとりゲーム
次に目を覚ましたとき、急に教室内がざわついた。
「ちょっと、びしょ濡れじゃない!」
誰かが大声で指摘し、クラス全員が振り返る。
頭からつま先までずぶ濡れの、悠馬に。
私たちは、季節外れのプールに飛び込んだのを知っているから驚かないけど、他のみんなは何も知らない。
しりとりの世界で起きたことは、この現実でもそのまま起きるのか?
ざわつきが大きくなった頃、ちょうどチャイムが鳴った。
「ちょっと顔、貸せよ」
悠馬はそう凄んで、嫌がる賢太を無理やり教室から連れていく。
ボコボコにされるだろうが、仕方がない。
裏切った賢太が悪いんだ。
少しくらい痛めつけて、今度は裏切らないようにしておかないと。
だから私たちは誰1人、止めに入らなかったんだ。
放課後、すっかりおとなしくなった賢太を従え、私たちは念入りに打ち合わせをした。
【し】から始まるもの。
そして最後の新田くんに、バトンを繋げる。
さすがに今度ばかりは、賢太も裏切らないだろう。
たとえ裏切って悠馬が失格になっとしても、現実に戻れば激しく痛めつけられるんだ。
そんな馬鹿なことはもうしない。
そうはっきりと口にした。
だから次も大丈夫だ。
私たちは、4回目の【しりとりゲーム】に挑むんだ。
必ずクリアできるゲームに。