俺様課長のお気に入り
「よし。唐揚げの味はどうかなあ……」

「陽菜、俺も味見」

要君にも、小皿にとって渡す。

「うん。うまい!」
「あれ?変な味……」

「ん?どうした陽菜。いつも通り、うまいぞ」

「そうかなあ……」

もう一口食べてみたけど、やっぱりおいしくない。
というか……

「うっ……」

突然吐き気に襲われて、急いで火を消してトイレに駆け込んだ。

「おい、陽菜。どうした?大丈夫か?」

「ワン、ワン」

後ろから、要君とケイ君が慌てて追いかけてきた。

「陽菜、大丈夫か?」

要君が、心配そうに背中を撫でてくれる。

「ゲホッ、ゲホッ」

「陽菜?」

「なんか、鶏肉腐ってない?それとも、昨日よくないものでも食べたかなあ……ゲホッ」

「大丈夫か?唐揚げはおいしかったし、火もちゃんと通ってたぞ。
ていうか……陽菜、もしかしてこれって、悪阻じゃないか?」

「えっ?」

いつ子どもができてもいいねって、避妊はしてなかったけど……
頭の中で、カレンダーを思い起こす。

あれ?
そういえば、今月の生理って……

「きてない……あれ?きてないんだけど」

「陽菜、お花見は中止だ。午前ならやってる病院があるはずだから、とりあえず診てもらおう」

要君の指示で、急いで病院へ行く準備をした。
その間、要君は台所を簡単に片付けて、産婦人科を調べてくれた。

「陽菜、歩いて10分ぐらいの所に、女医さんのいる産婦人科があるから、そこに行くぞ」

「わかった。ケイ君、ごめんね。お留守番をお願いね」

「ワン」


< 127 / 137 >

この作品をシェア

pagetop