俺様課長のお気に入り
翔君のことも真美さんのことも大好きなケイ君は、我先に駆けていく。

「はあい。いらっしゃい」

玄関の扉を開けると、いち早くケイ君が動いた。

「おっ!ケイ。元気にしてたか?」

頭を擦り付けるケイ君を、わしゃわしゃと撫でる翔君。

「陽菜ちゃん、おじゃまします」

「どうぞ」

ケイ君の熱烈な歓迎を受けながら、2人はリビングまでやってきた。
翔君はつぶさに、何やら部屋を眺め回してるんだけど……

「よし、変な虫はついていなさそうだな」

「何?翔君どうしたの?」

「ん?なんでもないよ」

「陽菜ちゃん、ケーキを買ってきたの。3人で食べようと思って。
あっ、ケイ君のおやつもあるのよ」

「ありがとう。飲み物を用意するね。コーヒーにする?」

「俺はコーヒーでいいよ。真美は紅茶でいい?」

「うん。お願いしていい?」

「はあい。じゃあ、座っててね」

私がキッチンに立っていると、2人と1匹は座って遊びだしたみたい。

「ケイ、元気にしてたか?陽菜に変な虫がつかないように、ちゃんと見張ってくれてるか?」

「ワン」

「翔、ケイ君って本当に賢い子よねぇ」

「ああ。ケイがいるから、陽菜の一人暮らしも許せるってものだ」


なんてやりとりは、陽菜には届いていない。



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