MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
2・恋愛小説家なんですか?
――約束していた四月四日。美優は待ち合わせの時間に少し遅れて,カフェに着いた。
バイトが少し長引いてしまったため,制服から着替えてそのまますっ飛んできても,時間をオーバーしてしまったのだ。
おかげで,肩より少し長い髪は乱れているし,顔はすっぴんだし。――ま,すっぴんはいつものことだからいいのだけれど。
「ヤバいなあ……。怒ってないといいけど」
初対面の日に遅刻なんて,心証(しんしょう)が悪すぎる。このせいで,彼とはお付き合いまで進まない可能性もあるのだ。
「……いらっしゃいませー」
カランコロン♪とドアを開けて店内に入ると,店員のお姉さんがニッコリ笑顔で迎えてくれた。美優は店内を見回す。
一人で来店している男性客は数人いるが,彼女は相手の顔をちゃんと覚えていたからすぐに分かった。
「あのっ,もしかしてYu-Ichiさん……ですか?」
乱れた髪をサッと直した美優がカウンターでアイスラテを注文し,思いきってテーブル席に駆け寄り,声をかけると,文庫本を手にカプチーノを飲んでいたその男性が美優に気づいた。
「そうですけど。もしかして,MIYUさん?」
「はいっ!ゴメンなさい,場所を指定したのはあたしの方なのに。遅れてしまって!」
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