あなたに捧ぐ潮風のうた


 勿論、好意は純粋に嬉しい。

 寄せられる好意が本気であればあるほど、断る際も気が重いのである。

「今回は随分と熱心な方でいらっしゃいますね」

「……そうね」

 小宰相は頭を抱えたい気持ちであった。

 小宰相は彼を受け入れられない。

 父がそれを許さないだろうというのが第一の理由だ。その理由は、宮中のことを学んだ今の小宰相ならば納得できる。

 平家という、武家でありながら公家を抑えて最も勢力を誇っている一門は、後白河法皇を始めとして周囲からの反感を買っている。

 父が尻込みするのも当然だ。

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