わたし、気付けば溺愛されてました。


司と桃と圭くんは、先に家まで送り届けてもらった。


今日のところは、司に全部任せることにした。

夜ご飯と洗い物と、洗濯機まわして止まったら干すのと、桃と圭くんをお風呂に入れて歯磨きして寝かしつける。それくらいかな。


司なら、きっと大丈夫だよね。


「…………」


それに、しても。


佐伯記念病院の息子であることは噂で知っていたけれど、佐伯くんって……ほんとにお坊ちゃんだったんだな。


顔は綺麗だし身長も高いし頭はいいし紳士だから学校の王子様的存在であることも知っていたけれど、

わたしはただクラスメイトとして認識していただけで、“”佐伯匠くん”を意識したことは一度もなかった。


たしかに、王子様……っぽい。


この黒い長ーい車も、佐伯くんなら似合うな………。


「新木さん、どうしたの?体調わるい?」


思わずぼーっとしてしまったわたしを、彼は心配そうな瞳で見つめた。

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