私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!
『だ、ダブルデートでございますか…!?』
「そうなの。 百合ちゃんが嫌じゃなければだけど」
私は早速真壁くんとの約束を果たすため、その夜百合ちゃんに電話していた。
真壁くんのおかげで課題はスラスラ終わり、無事提出もできた。
そのお礼も兼ねて、熊谷先輩との場を設けようという作戦を思いついたのだ。
題して!
【真壁くんの片想いを実らせよう大作戦!】
『嫌だなんてそんな! でも…お邪魔じゃありませんか…?』
「邪魔じゃないよ! いてくれると助かる…っていうか、百合ちゃんにとってもいいもの見れるかもだからさ!」
『私に…?』
「あー…でもわかんないな……もしかすると逆に傷つけちゃうかもしれない…デートの相手、熊谷先輩と真壁くんなんだ」
『…っ…』
BL好きとは言え、やはり推しカプが崩されてしまう場面は見たくないだろう。
無理強いはできない。
『…幸せすぎて泣くかも……』
「え……?」
『真壁くんって、真壁千尋くんですか…?』
「う、うん…」
あ、私が言った真壁くん双子説の訂正してなかったな……もはやもう懐かしい…
『はーちゃんと真壁くんの並んだところ、拝めるってことですよね……?』
「……うん?」
『楽しみにしてます…!!』
スマホの向こう側ですごく嬉しそうな声をする百合ちゃん。
何か勘違いをされていそうな気がしたが、百合ちゃんの嬉しそうな顔が目に見えるようだったので、私は何も言えずにそのまま通話越しにサヨナラしてしまった。