レテラ・ロ・ルシュアールの書簡

「貴方はいつもそうだ」
 押し殺すように殿下は呟き、次の瞬間、ヒステリックに叫んだ。
「たまには私の言う事も聞き入れたらどうだ!?」
「今は間が悪い」

 王は冷静に拒否した。

「なら、いつなら良いと言うのです?」
 殿下は責めるように続ける。

「そもそも、昔私が回収しようと言ったとき、そうしてくだされば良かったではないですか。貴方は、私の意見に従うのが嫌なだけなのでしょう?」
「……」

 王は静かに目を瞑り、黙り込んだ。

「もう良い。私の勝手にさせていただきます」
「青説」

 王の宥める声音を無視して、殿下は踵を返した。

「青説」

 もう一度、今度は少し強く呼びかけたが殿下は振向かなかった。殿下は真っ直ぐにこちらに向ってくる。僕らは慌てながら階段に向い、一目散に駆け下りた。
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