優しい彼と愛なき結婚
幼馴染と結婚話

ナニソレ。

数秒前、身に覚えのないことを聞いた。


「2人の結婚式はいつにするの?」

「僕は春が良いと思います」


もちろんプロポーズ後のカップルの会話ではなく、私と同じテーブルを囲む母と子の言葉だ。

しかも私を置いてきぼりにして、話は進む。


「優里さんの花嫁姿、とっても楽しみだわ」

「僕もです」


ユウリ。それは私の名前で。
私、結婚することになっているようです…。

確かに昨日、隣りに座る幼馴染からプロポーズをされた。嬉しさよりも付き合ってすらいないのに突然、結婚の話をされて正直戸惑った。だから恋人から始めたいと申し出たはずなのに、私の返事はなかったことにされている。

自身の母の話に合わせている幼馴染を見ると、その目は"余計なことを言うな"と告げていた。


< 1 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop