一途な御曹司と16歳の花嫁
なんてことだろう、せっかくの奥様のお誕生日パーティーが私のせいで台無しになってしまった、


なんて、お詫びをしたらいいのかわからない。


正臣とその部下は抱えられるようにして、運ばれて部屋を出て行った。


誰も居なくなったその部屋には私と伊織さまだけが残った。


私は小さくうずくまっていた。


彼は何も言わずに、私に洋服をかけてくれる。


伊織さまもスーツのジャケットがあちこち敗れていたし、右手は鮮血に染まっている。


唇の端には反撃された跡が痛々しく残っている。


ごめんなさい、伊織さま。


怪我は大丈夫ですか?


私はもう大丈夫だから、気にしないで。
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