聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~

それから、数週間後。
オスカーによって主催された夜会で、いずみは流行り病の原因を突き止めた功績をたたえられた。
アーレスから贈られたドレスを身に着けたいずみはひときわ目立っていた。
それは、宝石に比べればキラキラはしていないが、刺繍が独特であり、色使いもカラフルだ。
黒髪によく映える髪飾りも、白い肌を彩るチョーカーも、いずみによく似あっていて、貴婦人の間ではどこで作られたものなのかと大きな話題に上る。アルドリッジ公爵夫人のグレイスが勿体ぶったように情報を小出しにし、貴婦人たちに囲まれている。

「さて。この場で君に今回の功績を支え、再び聖女の称号を授けようと思うのだがどうかな」

にこやかにほほ笑むオスカーに、イズミは首を振った。

「聖女って与えられてなるものではないと思うんです。私はただのいずみでいいです。アーレス様の妻のいずみで十分ですもの」

けれど、助けられた人々は、彼女のことを聖女と呼んだ。
ショウガを使った新しい料理をはやらせ、ミヤ様とは違った力でこの世界の危機を救った聖女は、堅物だった騎士団長アーレス・バンフィールドを首ったけにしたことから、〝団長殺しの聖女〟というとんでもない二つ名でセルティア王国の歴史書にしっかりと刻まれるのである。



【Fin.】

< 196 / 196 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:399

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

引きこもり令嬢の契約婚約

総文字数/131,920

ファンタジー173ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ブライト王国の二大侯爵家のひとつであるシーグローヴ侯爵家。 長女であるセアラは、引きこもりの読書家だ。 高等教育を終えてもなお、大学に聴講生登録をし、婚活とは真逆の生活を送っていた。 そんな彼女に、王太子エリオットとの縁談が持ち上がる。 なんでも三人いる候補のひとりになったらしい。 薬学を学ぶ彼女には、どうしても会いたい存在がいる。 王太子、エリオットを加護する聖獣、シロフクロウのホワイティだ。 結婚には興味がないが、ホワイティには会いたい。 かくして、縁談に臨むことになったセアラだが、エリオットが予想外な提案をしてきて……? 引きこもりの侯爵令嬢 セアラ・シーグローヴ(18) × 実は策士な微笑みの貴公子 エリオット・オールブライト(20) 手元で書いていると進まないので、ファン限定公開します。 週1程度ののんびり更新です。 めどがついたら一般公開にします。よろしくお願いいたします。 2025/10/15  更新開始 ※お詫び※ 4/1 根本の設定を勘違いしていたことに気づき、修正を行いました。  直したところは以下です。  聖獣の加護の儀式 (誤)十歳→ (正)十三歳  エリオットの髪の色 (誤)銀 → (正)金  名称 (誤)ラングレン山 → (正)ルングレン山 この修正に伴い、過去回想時の年齢が多少後ろにずれます。 最近ポンコツですみません~(>_<)
表紙を見る 表紙を閉じる
ファンレターのお返事で使用していたSSです。 現在のお返事ペーパーは3巻目の後の内容になっております。 だいぶ時間が経過したので、1巻目、2巻目のときのSSを掲載しています。
処刑回避したい生き残り聖女、侍女としてひっそり生きるはずが最恐王の溺愛が始まりました
  • 書籍化作品
[原題]あなたがお探しの巫女姫、実は私です。

総文字数/132,289

ファンタジー161ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
かつてフローライトの精霊に愛された国と言われたボーフォート公国 しかし、いつしかフローライトが採れなくなり、国は衰退していった。 難民を保護していた隣国レッドメイン王国は、第三王子ルークを大将として軍を編成し、 ボーフォート公国を征服する。 王となったルークの善政のおかげで日々の暮らしは送れるようになったが、まだまだ復興したとは言いずらい。 そこでルークは、20年前に失踪した精霊と話ができるという巫女姫を探そうとする。 一方、メイドのアメリは、ひょんなことからルークの雑用係に任命される。 若くてイケメンな王に仕えたいメイドはいっぱいいるのになぜ自分なのか。 秘密を抱えるアメリは、頭を抱えていた。 だってそう。実はアメリは巫女姫の娘。 そして、精霊の声が聞こえるのだから──。 ボーフォート公国の若き公王 ルーク・レッドメイン(25) × アメリ・スレイド(20) 公王の雑用係に抜擢 とにかく正体はばれたくないんです! 完結しました!  2024/5/7~2024/5/17 

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop