あなたの愛に包まれて
千晃は朝食用に作っていたお味噌汁に具を入れようとして鍋のふちに少し触ってしまったのだ。
「だから俺がやるって言ったのに。」
「大丈夫だから。この年でお味噌汁も作れないなんて恥ずかしいでしょ?」
「いいんだよ。インスタントだってあるんだから。」
「そういう問題じゃない。」
千晃が少し頬を膨らませる。

匡祐の気がかりは千晃が結構・・・そそっかしいということだ。

先日も掃除機で大切なものを吸ってしまい掃除機を解体するはめにあった。
洗濯も・・・しわだらけだ。
アイロンで匡祐のシャツが何枚も犠牲になっている。

匡祐は千晃の手を冷やしながら千晃のきれいな手が傷だらけなことに気が付いた。

なんだか申し訳なくなり匡祐は心が痛む。
千晃は匡祐の表情が険しいことに気が付き不安そうな表情になった。

すぐに匡祐が自分の顔を不安そうに見る千晃に気が付いた。
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