25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
翌日、スーパー時代の友人とお茶をすることになってたのは、まさしく偶然。だって、約束した時点で、その前日に内藤に出くわすことになるなんて、想像出来るはずもない。


友人は今でも、そのスーパーに勤めている。私は頃合いを見て、切り出してみた。


「昨日さ、内藤店長に会ったんだよ。」


「えっ、どこで?」


「駅近くのショッピングモールで。なんか、お店に用があって、顔を出した帰りだって言ってた。」


そう言うと、友人が複雑そうな表情になる。


「どうしたの?」


その反応に、私が不安になりながら聞くと


「お店って、当然ウチの店のことだよね?」


「うん。」


「あり得ないよ。」


「えっ?」


「私、昨日出勤だったけど、見てないし、第一顔なんか出せるわけないよ。」


「どういうこと?」


「だってあの男、会社クビになったんだから。」


友人の言葉に、驚きのあまり、言葉を失う。


「なんか異動先の店で、既婚のパートに手を出して、相手の旦那が店に怒鳴り込んで来て、大騒ぎになったらしいよ。」


「・・・。」


「どうも、それが初めての話しじゃなくて・・・表面上は依願退職だけど、実質は解雇になったんだって。」


まさか・・・。


「西野さんが辞めた後だけど、実はウチの店でもあの人と・・・なんて噂が流れたこともあったのよ。ご存知の通り、仕事的にはまぁやり手だったから、会社も知らん顔してた部分があったみたいなんだけど、とうとう庇いきれなくなったってとこでしょ。」


「じゃ、なんで昨日・・・。」


「あの齢で、会社から放り出されて、困った挙げ句、昔の女に泣きつきにでも来たんでしょ。」


その、まさしく「昔の女」が目の前に座ってるとは、夢にも思ってない友人は、男に対する嫌悪感を露わにして、吐き捨てるように言った。


その後、私は取り繕うように笑顔を浮かべて、すぐに話題を変えたけど、内心の動揺は激しく、それを友人に気取られないようにするのに必死だった。
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