25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
やっと電話を切って、少しするとまた携帯が。まさか、と思ったら隆司さんから。


「もしもし。」


『やっと繋がったよ。随分長電話だったな。』


と少々ご立腹気味。


「店長からだったんだよ。こっちも迷惑だったんだけど、仕事の話だから、仕方ないでしょ。」


と私もイライラしてたから、なんとなくつっけんどんに答えてしまう。


『また店長かよ。仲いいんだな。』


「なに言ってるの?仕事の話だって言ってるでしょ。」


この人、いい齢してヤキモチ?私はますますイラッとしてしまう。


隆司さんの用件は、夏休みの日程が決まったので、予定を決めたいということだったけど、なんかムシャクシャしてたので


「わかった、考えとく。」


と言って、そのまま電話を切ってしまった。後から考えると、大人気ないとしか言いようがないんだけど、この時は、とにかくカッカしてて、そのままシャワーを浴びに浴室に飛び込んでいた。


翌日は、確かに店長の見立て通りの大忙し。夕方には、早々にこの日の売上予算を達成して、ホクホク顔の店長に挨拶して、私は店を後にする。


(あと1日か・・・。)


私は、重い足を引き摺るように帰路に付く。週末で行楽帰りの車が、歩道をノタノタ歩く私の横を次々と通る。


ふと気付くと、見慣れた車が。なんの気なしに、そちらに視線を送ると


(ウチの車だ・・・。)


運転席の隆司さんの後ろ姿が見える。今日は休日の彼が、ドライブしてても何の問題もない。1人で、なら・・・。


ちょうど信号待ちで止まった車、誰か助手席に乗ってる。誰?髪長いよ?えっ女の人・・・?


その女性が、隣の隆司さんに話し掛けて、横顔が見える。次の瞬間、私は息を呑んだ。


(渋谷さん・・・。)


見間違えではない。でも渋谷さんは、昨日から旦那さんの単身赴任先に行ってるはず。それがなんで・・・。


信号が青に変わり、車は何もなかったように走り出す。呆然と立ち尽くす私を尻目に・・・。
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