25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
しばらくして、今度は着信音が鳴り響く。ベッドの中で泣き濡れていた私は、ハッと身を起こすと、携帯に目を落とす。


画面に表示された名前はやっぱり「西野隆司」。いっこうに返信して来ない私に、しびれを切らして掛けて来たのだろう。


一瞬、その名前を睨むと、私は、次の瞬間、電話に出た。


「もしもし。」


『もしもし、今どこなの?メール見てくれた?・・・』


その何事もなかったかのような言葉と口調を聞いた時、私の中で何かがキレた。


「いい加減にしなよ!」


『えっ・・・。』


突然、私に怒声を浴びせられ、絶句している隆司さんに、更に追い討ちを掛ける。


「なんで、そんな普通なの?なんでそんなに何事もなかったように私の前で振る舞えるの?」


『朱美、何を言ってるん・・・。』


「この土日は会議の準備で忙しかったんだ?」


『あ、ああ。』


「じゃ、ずっと家に居たんだ?」


『全然出なかったわけじゃないけど、ほとんど・・・。』


「じゃ、元部下とのドライブは、そのほんの合間の息抜きだったんだ。」


『!』


私のその言葉に、隆司さんが息を飲んだのが、電話越しにはっきりと伝わって来た。


「隆司さん、あなたは怖い人だね。そうやって、また私を平然と騙すつもりだったんだ。」


『ちょ、ちょっと待ってくれ・・・。』


しどろもどろになる隆司さんの声が、不快に耳に響く。


「人をバカにするのも、いい加減にして。何が彼氏彼女からやり直そうよ。私をキープしておいて、人妻口説こうなんて、いくらなんでも酷すぎる、最低だよ!」


『なぁ朱美、頼むから話を・・・。』


何か言い訳しようとする彼の声を、これ以上聞きたくなくて、私は通話を叩き切ると、そのまま家を飛び出していた。
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