25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
そして、この日。


私達は、着飾って、家を出た。車を走らせること、1時間半ほど。降り立ったその場所は、あのテニススタジアムや夕陽の見える海岸と同じくらい、私達にとって、大切な場所だった。


「久しぶりだね。」


「ああ。」


私達は建物を感慨深げに見上げる。ここで、このホテルで、私達は結婚式を挙げた。新郎23歳、新婦21歳、2人共若かった、な。


あれから25年、あの日と同じ日に、私達は銀婚式のお祝いをしてもらうことになった。招待してくれたのは、私達の大切な宝物である2人の息子。


「さ、行こうか。」


「はい。」


私達は、照れもせず、手を繋いで歩き出した。エントランスからエレベーターに乗って、最上階へ。そこには、当時も今も綺麗な夜景が一望出来るレストランが。


出迎えてくれたボーイさんに、名前を告げると


「お待ちしておりました、本日はおめでとうございます。お連れ様は、すでにご到着されておりますので、お部屋まで、ご案内いたします。」


と言って、私達を先導してくれる。そして、案内されて、部屋に入ると、スーツに身を包んだ、2人の息子が、笑顔で迎えてくれる。


「お待たせ。今日はお招きいただいて、どうもありがとう。」


親しき仲にも礼儀あり。まずは夫がそう挨拶すると


「いえいえ。」


と長男。


「さ、おふたりとも、お掛けください。」


次男に促されて、私達は席に着く。


今日のことは、2人の息子が、全部手配してくれた。2人は初めて自分達の手で祝える銀婚式が、楽しみで仕方なかったらしく、今年に入って早々に、今日の予約を入れてくれた。


ところが、まさかの私達の不祥事発覚からの離婚騒動が勃発して、やむなくキャンセルせざるを得ない状況になってしまった。


それでも結局、元サヤに私達が収まったことで、また慌てて、手配してくれたのだ。


「銀婚式1ヶ月前に、より戻してくれてよかった。ギリキリセーフ。」


次男は笑って、そう言った。
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