25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
私達はその後、そのままホテルにチェックイン。なんと、今夜の宿泊まで、プレゼントしてもらったのだ。


この話を聞いた時には、さすがにそこまでしてもらっちゃと、遠慮したら


「実は、これは爺ちゃんと婆ちゃん達から。」


と言われてますますびっくり。アラフィフの子供2人が、年老いた両親にさんざん心配を掛けて、むしろこちらが旅行でも誘わなきゃと思っていたのに・・・。


「4人とも、2人が無事、元サヤに収まって、本当に嬉しいんだよ。だから、今回はありがたく甘えときな。」


と長男に言われ、電話でよくよくお礼を伝えて、そうさせてもらうことにした。


部屋に入り、カーテンを開けると、窓一杯に広がる夜景が目に飛び込んで来る。その光景に、目を奪われていると、夫が横に立つ。


「きれいだな。」


「うん・・・。」


25年前、披露宴が終わり、列席者をお見送りし、両親やきょうだい達も帰って行った後、私達は今と同じように、2人きりになった。


「いよいよ俺達の長い長い航海の始まりだ。穏やかな凪の時ばかりじゃないだろう、雨の日も、風の日も、嵐だって来るだろう。だけど、絶対に2人で力を合わせて、乗り越えて行こうな。どんな時でも2人一緒に。朱美、よろしくな。」


「はい。こちらこそ、末永くよろしくお願いします。」


そんなことを言って、抱き合って、キスなんか交わして・・・若かったな、思い出すと恥ずかしくなる。


そして今、私達はしばらく黙って窓の外を眺めていたけど、ふと思いついた私は、テ-ブルに置いた花束を取り上げた。


子供達がくれた桔梗の花束。とりあえず、今日は俺が預かるよって、次男が言ってくれたんだけど、私は首を振った。せっかくだもん、今夜も部屋に飾りたかったから。


ホテルが用意してくれた花瓶に、明日持って帰る時、困らないように、束を解かないまま活けてみる。花を包んでるセロハンがちょっと邪魔だけど、でもやっぱり綺麗だ。


「うん。」


私がちょっと悦に入っていると


「永遠の愛・・・か。」


とポツンと呟いた夫の声が。驚いて振り向くといつの間にか、私の横で、やっぱり桔梗を見つめてる。
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