25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
「ごめんなさい、本当にごめんなさい。私、バカなことした。後悔してる・・・ごめんなさい。」


絞り出すようにそう言った私を、じっと見つめる隆司さん。


「朱美がバカなら、俺は大バカ野郎だ。俺がやったことは許されない。絶対に許されないことだ。なんであの時、朱美を裏切ったのか、裏切る必要があったのか、自分でも全くわからない。本当に済まなかった・・・。」


せっかくの銀婚式なのに、思い出の場所で二人きりになれたのに、私達は結局、こんなことを話さなきゃならないんだね・・・。


切なく、そして悲しい気持ちで夫を見ると、夫は真っ直ぐ私を見つめて、言った。


「でも朱美、俺はたった今から、もうこのことで、お前に謝ることはしない。お前の謝罪の言葉も、もう聞きたくないし聞かない。そんな言葉を言い合って、ぶつけ合って、自分を責めて・・・そんな時間に何の意味があるんだよ。」


「隆司さん・・・。」


「お互いの裏切りを許せないし、忘れることなんか出来ない。お前はそう言った。その通りだよ、なかったことにも出来ない。でも俺達は一緒に居たい、一緒に居ようって決めたんだ。お互いが好きだから、お互いを愛してるから。違うか?」


その言葉に、私は激しくかぶりを振る。


「だったら、俺はもうこんな素敵な花言葉に、ひるんだりはしない。自嘲の笑いを浮かべることはもう絶対にしない。俺は朱美を愛してる。俺の大切な妻を誰よりも愛してる。あえて言わせてもらう。これまでも、そしてこれからも。」


「隆司・・・さん・・・。」


もう私はあふれ続ける涙を止めることが出来ない。それでも懸命に隆司さんを見つめる。


「だから、朱美の口からも聞かせてくれ。お前の気持ちを、お前の本当の気持ちを。」


「愛してます。あなたを、隆司さんを、私の大切な夫を、心から愛しています。」


もう限界だった。そんな私の気持ちを分かってくれた隆司さんが広げてくれた腕の中に吸い込まれて行く。


どのくらい彼の胸で泣いて、どのくらい抱きしめられてたんだろう。私はようやく、濡れた瞳で夫を見上げた。


「可愛い、可愛すぎるんだけど、俺の嫁さん。どうしてくれようか、もう。」


「隆司さん・・・。」


そうつぶやいた私のあごをクイッて上に向けると、隆司さんは


「今夜は寝かさない、覚悟しろよ。」


と言って、いたずらっぽく笑う。それに対して


「はい、覚悟してます。よろしくお願いします。」


なんて従順ぽく答えたら


「言ったな、よし!」


と言って、私をお姫様抱っこで抱え上げる夫。


あっ、そんな無理して、腰でも痛めちゃったら、この後困っちゃう・・・と咄嗟に思ってしまったなんて・・・絶対に、ナイショ、です・・・。


END
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