25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
仕事場と家の往復、休みの前の日は、さすがに毎回ではなかったが、次男が泊まりに来る。そんな生活が少し続いた。


そのサイクルに少し変化が起きたのは、1人の生活が2週間ほど過ぎた頃だった。


『どう、元気にしてる?』


高校時代からの友人、佐川春希(さがわはるき)から電話が来たのは、その日の仕事が終わり、夕飯の買い物を済ませて、部屋に入って、ホッと一息ついた時だった。


「うん、なんとかね。」


『そっか。朱美が寂しくて、毎晩泣いてないか、心配だったんだけどさ。』


「そんなことないよ。」


『やっと仕事が一段落してさ。今度いつ休み?』


「明後日。」


『そう。ちょうど代休を1日取らなくちゃならないから、その日、ランチでもしようか?』


そんな感じで、約束が出来た。


当日、彼女と会う時にはよく利用しているレストランで待ち合わせ。ここのランチは2人ともお気に入りだ。


「考えてみたら。」


席につくと春希が言った。


「今までは大切な奥様を夜遊びに誘っちゃ悪いかなって、先輩に遠慮して、ランチばかりしてたけど、もう夜の飲み会でもよかったんだよね。」


春希とは部活も一緒だったから、隆司さんのことも知ってる。


「それにしても、あんたと先輩が別れるなんて、正直夢にも思わなかったなぁ。」


いきなり言われて、思わず俯く私。


「高校の頃から、ラブラブカップル、おしどり夫婦って、仲間内でも定評があったあんた達が、実は浮気し合ってて離婚騒ぎになってるって、相談された時にも驚いたけど、それでも私は、結局は、元サヤに収まると思ってたから。でも・・・『永遠の愛を誓う』なんて、結婚式なんかで、よく言うけど、そんなのやっぱりそんなの、夢物語なんだよ、所詮。」


「春希・・・。」


いきなりの春希の言い草に言葉を失う私。


「私はこの齢になるまで、結婚もしてないし、願望も、全くなかったとは言わないけど、強くもなかった。だって、一生1人の人だけを見て、愛し続けるって、やっぱりシンドイんじゃないかと思ったから。」


「・・・。」


「だから、仕方ないと思うよ。」


春希はサラリと、そう言った。
< 79 / 156 >

この作品をシェア

pagetop