25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
結局、その後も少しドライブもどきをして、家まで送ってもらったのは、もう11時を過ぎていた。


「ゴメンね、明日仕事なのに、こんな時間になっちゃって。」


「いや、俺の方こそ、君が疲れてるのにいろいろ連れ回しちゃって。」


「ううん。じゃまたメールするね、いいでしょ?」


「もちろん。だって俺達は付き合ってるんだから。」


そう言って、また笑顔を交わし合う。


「じゃ、おやすみ。」


「うん、おやすみ。」


そう言って見つめ合うと、隆司さんの唇が近づいて来る。少し躊躇ったけど、私は目を閉じた。


それは、ついこの間まで夫婦として、交わして来た深いものではなく、本当に触れるだけのおやすみのキス。すぐに離れて、パッと目が合って、照れ臭くなって、目を逸らす。いい齢したオジさんとオバさんが何やってるんだか・・・。


車を降り、頷き合うと、隆司さんは手を上げて、車をスタートさせる。私もそれに応え、手を上げると、車が見えなくなるまで見送る。それはまさしくデートを終えた後のカレカノの姿だった。


部屋に入り、灯りを点け、椅子に座って、フッと息をつく。


(これで、よかったんだよ、ね・・・?)


改めて自問してみる。けど、答えなんてまだ出るはずもない。でもとりあえずは一歩を踏み出さないと。春希が言ってた「新たなスタート」とは少し違うかもしれないけど。


私は携帯を取り出すと、メールを打つ。宛先は2人の息子。


『さっきまで、お父さんと会ってた。いろいろ話したんだけど、私達、とりあえず、彼氏と彼女からやり直すことにした。なにそれと思うかもしれないし、正直それが正しいことなのかも、わからないけど、2人でそう決めたんで、よろしく。以上!』


そんな文面を送る。長男からは


『了解。』


と素っ気ない一言。次男は


『そうこなくっちゃ、今日母さんのとこに泊まるの自粛した甲斐がないよ(笑)じゃ、早く戻って来いよ。』


と気の早いセリフ。ちょっと苦笑いしながら携帯を閉じた私は


(さ、お風呂入って寝よ。)


と立ち上がった。
< 94 / 156 >

この作品をシェア

pagetop