守る理由。
蒼司「俺は…そう、蒼司だ。」

『…うん!?それは知ってますね!?僕が付けましたからね…!?』

蒼司「ああ、そうだったな。」

『忘れていたと…??』



あまりの彼の抜けている発言に、正座しながらもずっこけそうになった僕は器用なのかもしれない。

いや、そうじゃない、何故彼は僕の付けた名前を僕が知らないかのように自己紹介してきたのか。

普段なら大爆笑ものだ、今は混乱していて何が何だか分かっていないだけだから。



蒼司「…名字…は……佐藤でいいか。」

『そんなに適当に人の名字使うあたり逆に凄いですね!?』

蒼司「そんなに褒めるな。」

『皮肉ですが!?』



そう言えば、皮肉を言われる意味が分からないとでも言いたげに首を傾げる。

いくら顔が美形だからといって、許せることと許せないことがある。

いやそもそも美形だからとかで許すような性格はしていない、多分、きっと、そう思いたい。



蒼司「あんたを守る役割を持っているんだ、あんたと同じ名字であった方が色々楽なのだ。」

『うん、そんなの知ったこっちゃないですかね…!?』



元々その名字は親のものなのだが。

そう思い、流石に我慢出来ず頭を抱えてしまう。

そんなに不思議そうな顔をしないで欲しい、貴方のせいで頭を抱えているんだから。


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