嘘つき社長と天使の恋物語

「ふーん。なぁんだ、上手くやったんじゃん」

 デスクに座る悠大を見て、和也はニヤッと笑った。


「随分顔色いいんじゃねぇ? 」


 悠大の顔を覗きこんで和也が言った。


「余計な事言わなくていいから、それ終わったらもう帰っていいぞ」

「え? まだ定時じゃないし。早すぎじゃねぇ? 」

「今日はかなり早く出社しているだろう? だから、早く帰っていい。朝からバタバタしていたんだ、少しは休め」

「へぇー。あんたにも、そんな優しいとこあるんだ」


 ちょっとからかうように和也は笑った。






 1時間くらい経過すると、和也は仕事がひと段落して先に帰って行った。


 ソファーに座って待っていた嶺亜は、いつの間にか眠っていた。

 疲れもありホッとしたのもあるのだろう。


 悠大は眠っている嶺亜にそっと毛布をかけた。


 安心している嶺亜は、とても可愛い天使のような寝顔。

「可愛い…」

 悠大はそっと、嶺亜の頬に触れた。



「フフッ。随分と優しくなったわね」

 ふわりとサキが現れた。


「サキ…」

「やっと本当の気持ちに正直になったのね、嬉しいわ」

「有難う、お前のおかげだよ」

「別に、私はキッカケを作っただけ。後は、あんたが選んだ事。何も心配しなくていいから、あんたは思う存分楽しんで幸せになって。それが私と一樹の願いなんだから」

「ああ、解ったよ」



 スーッと、サキは嶺亜に近づいた。


「まったくこの子も、とっても優しい天使ちゃんね。こんな怪我までさせられちゃって…」


 サキはそっと、嶺亜の怪我している頬に触れた。

「もう、苦しまなくていいの。幸せになりなさい…ずっと、傍で見守ってるからね」


 ぽわっと、綺麗な光が嶺亜の頬を包んだ。


「これでよし」

 サキはそっと、嶺亜のマスクを外した。


 すると…
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