2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『専務とは…何も無かったですし。私は、もう少しで、会社から離れますから…だから…いろいろあったこと、全部…忘れますね』


樹さんも、私が会社を辞めることは知っているみたいだ。


それについては、何も聞かないけど…


『柚葉、我慢しないで、つらいことがあればいつでも俺に言えばいい』


電話の向こうの樹さんの声が、優しくて…


彼女でもないのに、つい甘えたくなってしまう。


樹さん、彼女はいないって言ってたけど、本当なのかな…


友達は…?


ガールフレンドはいてもおかしくないよね。


『ありがとうございます。樹さんにはとても感謝してます。だけど…樹さんには、樹さんの大切な時間があると思いますから、だから…私のこと、そんなに心配しなくて大丈夫ですよ』


『…大切な時間…?』


『はい…樹さんは、私が柊君にフラれたことに同情してくれてますよね。自分の兄弟がしたこと、まるで自分の罪のように思って…』
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