2人のあなたに愛されて～歪んだ溺愛と密かな溺愛～

『強引ですね』


私も、笑った。


2人の緊張が、少し溶けた…かな。


『柚葉。今日から、俺のこと、樹って呼んで。あと、敬語はいらない』


『そんな、無理です』


『じゃあ、花束返してくれ』


『え！ちょ、ちょっと待って下さい』


『だったら…樹って呼んで』


そんな甘い声で言われたら…


『…い…樹…』


『それでいい。俺には敬語は使うな。使ったら罰金な』


『えー、罰金とか無しですよ』


『はい、罰金』


私達2人だけの時間。


笑顔がいっぱいの、幸せな時間。


私、樹さんに告白されたんだ…


信じられないよ。


樹さんが私を好きだなんて、信じられるわけない。


だけど、やっぱり嬉しかった。


柊君への気持ちは、まだまだ消えない。


いつ、忘れられるのかもわからない。


私は…樹さんのこと、本当はどう思ってるんだろう？


それも、今はまだ、正直、わからなかったんだ。


夜景、ハンバーガー、花火、花束、告白…


ただ、私にとって、今夜のことが、一生忘れられない思い出になったことだけは、確かな事実だった。