2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『冷たいって…佐藤君に言われたくないよ』


悩まされたことも手伝って、私はちょっとムキになって反論した。


そしたら、佐藤君の目、だんだん険しくなっていって…


私、心臓がドキドキし始めた。


嫌な感じだ。


『柚葉…もう、出よう』


真奈がそう言ってくれて、私達は荷物を持って、店を出ようとした。


レジの辺りで、佐藤君が、


『近々、柚葉の部屋に行くよ』


そう言い残して、サッサと出て行ってしまった。


一瞬、血の気が引いた感じがした。


『もう、帰るの?』


店の奥から、良介君が出て来て言った。


『良介遅いよ。今のお客、変だったのに』


『え?大丈夫?』


『もう、本当に役に立たないなぁ』


『真奈、言い過ぎだよ。良介君、ごめんなさい。大丈夫だから』


そう言いながらも、まだ動悸が治まらない。


とにかく、私達は、良介君にお礼を言って、その店を出た。


『真奈、ごめん、心配かけちゃって』
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