2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『嫌じゃなかったよ…私。あのままずっと抱きしめられてたら…』


きっと、何も考えられなくて、樹さんに身を任せてしまったかも知れない。


そんなのは…ダメだよね…


いやだ、まだ、鼓動が治まらないよ。


私は…誰が好きなのか…


本当にこれからどうすればいいのか、何度も考えるけど、まだよくわからないんだ…


樹さんの香りが私の体に、ほのかに残ってる。


大人な香りに…もう、どうにかなりそう…って…


正直、思ってしまった…


樹さんには、柊君以上の、男性としての魅力を感じる。


セクシーな男性って言うべきか。


穏やかで、優しく…でも、ちょっと強引な樹さん。


私は、無理して『樹』って呼んでるけど…


心の中では、いつまでも『樹さん』って…


そんな風に思ってしまってる。


彼のミステリアスな部分に、まだ心を許しきれてないのかな…


もちろん、決して嫌いじゃない。


だけど、私の中で、目の前の樹さんが、柊君と重なってしまって、気持ちが追いついてないことも…確かなんだ。
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