2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『樹、今日はありがとう。美味しかったよ』


『…ああ、いや、今日は…』


どうしたの?


ちょっと…言い難い話し?


『樹?』


『…いや、今日は、お前に言いたいことがあって、それであの店に連れて行ったんだ。でも、たまたま沙也加に会ってしまって…』


『そうなんだ…何かあった?』


仕事?柊君のこと?


他に…何かあるのかな?


聞くのが怖い気がするけど…


『…柚葉、俺、クリスマスにお前に告白したよな』


『あ…うん』


『確かに、答えを急がせる気はない。いつまでも待つ』


私は、ゆっくりとうなづいた。


『だったら、その先のことも、今から考えてもらっててもいいか…って』


『その先のこと?』


樹さんは、ソファに座る私のすぐ横に来た。


フワッといい香り。


まだスーツ姿の樹さんが、私のすぐ真横に座ってる。


じっと顔を見て、真剣な面持ちで、樹さんは言った。


『柚葉…お芝居じゃなく、ちゃんと俺の…』
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