2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『間に合ったな』


『良かったよ、お腹空いた』


柊は、そう言って、笑った。


その笑顔見てたら…


急に胸が苦しくなった。


さっきまでの決意が揺らぎそうになる。


柊…


お前が、柚葉を悲しませたんだ…


だから…


だから、俺は…


柚葉を…


柚葉を守りたい。


愛しい人を、ただ、守りたいんだ。


『今日の仕事…あんなに上手くいくと思わなかったよ。樹のおかげだね。僕だけじゃ厳しかったと思うよ』


『まさか。柊のあの最後の言葉が効いてる』


食事をしながら、ずっと仕事のことばかり話した。


柚葉のこと、いつ切り出そうか、考えながら…


『樹…何か話があったんじゃないか?』


柊は、俺の心を察して言ったんだろう。


やっぱり、兄弟だな。


見抜かれてたか。


『…ああ』


柊がきっかけを作ってくれて、俺は話し出せた。


『好きな子が出来たんだろ?』


『え?どうして…そう?』
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