Death judgment
ことの発端
休み時間の教室。閉めた窓から外を覗き、腰まで伸びた黒髪を持つ少女は深いため息をついた。

彼女の名前は、伊集院 麗華(いじゅういん れいか)。聡明な女の子である。

麗華には、誰にも話していない秘密があった。それは――

「ねぇ、麗華お姉ちゃん。どうして皆は、私に気づいてくれないの?」

血まみれの12歳の女の子がフワフワと空に浮かびながら麗華に話しかけている。麗華は女の子の問いかけに、無視をして賑やかな教室から逃げるように廊下へ移動した。

誰もいないところまで移動すると、女の子に話しかける。

「……学校では話しかけないでって言ってるのに。あんたの姿は誰にも見えていないんだからね?」

「うぅ……だってぇ……」

麗華は、生まれつき霊感が強い。普通に幽霊と話すことが出来るため、小学生の頃は、周りの人から気持ち悪がられていた。

「……はぁ。放課後、私も一緒に行ってあげるから、ね?」

そう麗華が言うと、女の子は「大丈夫!私、一人で行けるもん!」とうなずく。

「本当に?」

「本当!死んでから、1人で居るのが怖くてお姉ちゃんにくっついてただけなの!今までありがとう」

そう言って、女の子は麗華に頭を下げてどこかへと消えていった。

麗華は、深くため息をつくと教室へと歩く。このことを誰かに見られていたことを知らずに。
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