しあわせ食堂の異世界ご飯4
 鼻歌を口ずさみながら、アリアは二階の住居部分から一階の店舗スペースへと下りていった。

 厨房へ行くと、カミルがハンバーグ用の下ごしらえをしているところだった。コンロを見るとカレー鍋も煮込まれている最中で、完璧だ。
「おはようカミル、早起きだね」
「ああ、おはよう。俺も頑張って料理の腕を上げていかないとだからな、これくらいは頑張るさ」
 カミルがぐっと腕を曲げて、任せろと笑顔を見せる。
「すっごく頼もしいよ。これなら、しあわせ食堂の将来はバッチリだね!」
「はは、だといいんだけどな。……でもやっぱり、アリアの料理はしあわせ食堂に不可欠っていうか、なんていうか」
 自分ひとりでは厳しいだろうから、アリアにこのままずっと手伝ってもらえないだろうかと、カミルは思っている。
 いや、正直にいえば、雇い雇われという関係から一歩踏み出すことができたら……と、考えている。
 しかしそれには、大きな障害もある。
 アリアと仲の良い、リントという大きな存在だ。いまいちヘタレなカミルは、アリアにアプローチすることができず今にいたる。
< 75 / 202 >

この作品をシェア

pagetop