我妻教育3
「ごめんね、急に来て」

「いいんだよ!
暑かっただろう、冷たいものでもどうだ?
甘酒ソフトクリームと甘酒かき氷があるぞ」

「父さんが作るんだよ」

「え!そうなの、作れるの?!」

驚いて義父を見ると、義父は自信満々に頷いた。
「ああ、上手いもんだよ(笑)」

入ってすぐの蔵にはショップ、ギャラリーがある。
日本酒から、酒粕、甘酒、それらで作られたお菓子などが並んでいた。
テイクアウトでソフトクリームとかき氷。

「美味しそう!
でも先にご挨拶できるかな?
あ、お手透きだったらで良いんだけど」

「ああ、そうだな。呼んでくるよ」

義父が奥へ引っ込んで行き、勇と二人になる。
勇、日に焼けたし、また背が伸びたかな?

「勇、新しい高校にはもう慣れた?」

「はい。友だちも出来ました」

「良かった」

「姉さまも一人暮らしには慣れましたか?」

「…何とか」

「部屋は散らかってませんか?」

「…散らかってる」

視線を逸らすと、「やっぱり」と勇が笑う。

元気そうで良かった。

しばらくして、義父が蔵元のご夫婦を連れてきた。

「未礼、私と勇がお世話になっている、蔵元の山指(サンザシ)さんご夫妻だ」
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