妖狐の瞳に恋をした
何かにくるまれる温もりの中、とても居心地の良さを感じながら

瞼を上げた。

目の前には開けた浴衣から覗く、固い胸板があった。

「エッ、あッ、、、、」

初めて触れる異性の体に、真っ赤になりながら軽くパニックを起こして

いると頭の上から優しい声が落ちてきた。

「瑠璃、起きたのか?おはよう。」

「あ、うん、おはよう。」

「やっぱり瑠璃と一緒にだと、ぐっすり眠れる。

 準備ができたら朝餉(アサゲ)を食べに行こう。」

「う、うん。」

心臓バクバクのこっちの気も知らず、変わりの無い翡翠の態度に

こういう事に慣れている感じがして胸にチクリと痛みを感じたが

何事もなかったように身支度を整えた。

昨日の広間には、既に浅葱と珊瑚、鴇の三人が揃っていた。

「「「おはようございます。」」」

「おはようございます。」

「おはよう。」

「皆揃ったので頂きましょう。」

「「「「 頂きます。」」」」

朝ごはんも美味しくて箸が進む。
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