妖狐の瞳に恋をした
それから、踊りや舞を見て屋敷に戻った。

久しぶりの祭りは、本当に楽しいものだった。

「翡翠、今日は本当にありがとう。

 こんな楽しかったのは、久しぶり。髪飾りも大事にするね」

「瑠璃が喜んでくれて、連れて行った俺も嬉しいよ」

それから、皆で夕食をとりお風呂に入って部屋に戻った。

縁側では、いつもの様に翡翠が煙管を吹かしながらお酒を飲んでいた。

本当に絵になる人だ。

見惚れてしまう・・・

「瑠璃、こっちにおいで」

呼ばれるまま翡翠の隣に座った。

「右耳をこっちに向けてごらん。」

言われるまま右耳を翡翠に向けると、耳朶に翡翠の指先が触れた。

するとそこがほんわか暖かくなり、違和感を感じる。

「そこの鏡で右耳を見てご覧。」

鏡に映った私の右耳には、翡翠と同じ耳飾りがついていた。

「その耳飾りは俺のと対になる物で、この世に同じものはない。

 そして、これは俺以外には外すことはできない。

 瑠璃に俺と対になるこの耳飾りをつけて欲しかったんだ。」
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