妖狐の瞳に恋をした
「そう言えば、ご両親はこちらで働いていらっしゃるとか・・・」

「ヤダ、翡翠、話してないの?」

「あ、あぁ、忘れてた。」

「ん、なに?」

「ここは、親父の会社。親父が社長で、お袋が副社長。

 で、浅葱は社長秘書。俺は来週からここの専務。」

サラッと翡翠が驚きの事実を口にした。

「え、ええええ!」

「瑠璃、驚きすぎ。もう、瑠璃は俺の婚約者だからな」

「婚約者!?」

「本当は直ぐにでも結婚したいくらいだが、瑠璃は学校もあるから

 卒業まで待ってやる。それまでは婚約者だ!」

そう言って、私の右手の薬指に綺麗な指輪をつけた。

「え、ええ、嘘・・。」

私の目からは涙が溢れてくる。

「瑠璃、大事にする。俺のお嫁さんになって・・・」

「は、はい。私をお嫁さんにしてください」

「瑠璃さん、今日から私の事はお父さんと呼んでくれるかな」

「私の事は、菖蒲さんね」

「はい!お父さん、菖蒲さん、よろしくお願いします」

「じゃあ、話は済んだから、俺達は帰るよ」

「あぁ、来週からたのんだぞ」

「了解」

私達はご両親に手を振って、その場を後にした。
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